小売店、顧客の間で「クレジット(信用)」を媒介 |

小売店、顧客の間で「クレジット(信用)」を媒介
創業当時のダイナースクラブカードに、何か特別新しい仕掛けや技術があったわけではない。「高額商品を割賦方式で顧客に購入させる」「顧客の本人確認と購入履歴の管理」「30日間の支払い猶予機能」等々、その概念自体はすでに存在していたものばかりだ。
しかし、当初は「優待カード」として小売店側が裕福な顧客との関係をより緊密につなぐためのツールに過ぎなかったのに対し、ダイナースクラブ創始者たちはクレジット会社を小売店と顧客との間を仲介する第三者として存在させた。そのための媒体がクレジットカードだったのである。
顧客に対しては前述のようなクレジットの機能を販売し、カード加盟店となる小売店側には新たな顧客を紹介する。そして双方から手数料をとることで、クレジット会社は利益を得る。
こうして「クレジット(信用)」という機能を一枚のカードに代替させ、商品として小売店、顧客双方に販売するという新たな金融ビジネスの基礎を築いたことが、ダイナースクラブカードが「世界初のクレジットカード会社の祖」と言われる所以なのである。
昨今のIT情報系サービス風に言えばマッシュアップ、またはミクスチャーとでもいおうか。創業者のアルフレッド・ブルーミングデール(超一流百貨店・ブルーミングデールの創始者の孫)、フランク・マクナマラ、ラルフ・スナイダーたちは、それまでの技術や概念をうまく統合させ、その新しい役割を(これまで存在していなかった)クレジットカード会社に担わせる、という新しいビジネスの形を作り出すことに成功したのだ。